胎児が横向きになる原因とは?逆子との違いや妊婦ができること

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妊娠中の妊婦健診で、お腹の赤ちゃんが横向きになっていると告げられると、なぜそうなったのか、出産に影響はないのかと不安になるかもしれません。
胎児が横向きになる状態は「横位」と呼ばれ、実は「逆子」の一種です。

妊娠中期までは胎児がよく動くため、多くのケースでは自然に頭が下になりますが、時期によっては原因を探り、対処が必要になることもあります。

胎児が横向きの状態とは?「横位」と呼ばれる逆子の一種です

通常、出産が近づくと赤ちゃんの頭は母体の骨盤側(下)を向いていますが、何らかの理由で頭が上や横を向いてしまうことがあります。
この、頭が下にない状態を総称して「骨盤位」、一般的には「逆子」と呼びます。
胎児が横向きになっている状態は「横位」といい、この逆子の一種に分類されます。

健診の超音波検査で赤ちゃんの位置を確認することで診断されます。

「頭位」「骨盤位」など赤ちゃんの様々な姿勢

お腹の中の赤ちゃんの姿勢は、頭がどの方向を向いているかによって分類されます。
子宮の一番下(骨盤側)に頭がある状態が「頭位」で、これが正常な位置です。

一方、お尻や足が下になっている状態を「骨盤位(逆子)」と呼びます。
そして、赤ちゃんの体がママの体の左右に対して水平、つまり真横になっていて、頭が左右どちらかにある状態を「横位」と呼びます。
まれに、体が斜めになっている「斜位」という状態もあります。

「横位」はいつまでに治ればいい?診断される時期

妊娠中期頃までは、子宮内のスペースに余裕があり羊水中を赤ちゃんが自由に動き回るため、胎児の位置は定まっていません。
そのため、この時期に横向きであっても特に問題視されることはありません。
一般的に、赤ちゃんの位置が固定され始める妊娠28週から30週以降に横位と診断されることが多いです。

ただし、妊娠後期に入っても自然に頭位に戻る可能性は十分にあります。
最終的に出産時までに頭が下を向けばよいため、妊娠30週頃に横位と診断されても過度に心配する必要はありません。

胎児が横向き(横位)になる主な5つの原因

胎児が横向きになる原因は一つに特定できないことが多く、母体側と胎児側の様々な要因が複合的に関係していると考えられています。子宮内の環境によって、赤ちゃんが頭を下に向けたくても向けられない、あるいは横向きの姿勢が最も快適であるためにその位置を保っている可能性があります。

横位になる主な原因としては、以下のようなケースが挙げられます。

子宮の形態異常や子宮筋腫などの腫瘤子宮の形が通常と異なっていたり、子宮筋腫などの良性腫瘍がある場合、子宮内のスペースが制限され、胎児が頭位になりにくいことがあります。
〈羊水過多または羊水過少〉羊水が多いと胎児が自由に動き回りすぎるため、横位になる可能性があります。 逆に羊水が少ない場合も胎児の動きが制限され、横位につながることがあります。
〈多胎妊娠〉双子など複数の胎児を妊娠している場合、子宮内のスペースが限られるため、胎児が横位になる可能性が高まります。
〈前置胎盤や低置胎盤〉胎盤が子宮口を覆っていたり、子宮の下部に位置している場合、胎児の頭が下がりづらく、横位の原因となることがあります。
〈胎児の先天異常〉胎児に水頭症や無脳症などの形態異常がある場合、頭の形や重さにより、横位になることがあります。
〈経産婦〉出産回数の多い経産婦の場合、子宮や腹壁が弛緩していることで、横位になりやすい傾向があると言われています。

子宮の形や筋腫が影響している場合

母体の子宮の形が通常と異なる場合、胎児が回転しにくくなることがあります。
例えば、子宮がハート型をしている双角子宮や、子宮内に壁がある中隔子宮などの子宮奇形があると、スペースが制限されて横位になりやすくなります。

また、子宮筋腫、特に大きな筋腫や子宮の下部にできた筋腫が、胎児の頭が骨盤に入るのを妨げてしまうことも原因の一つです。
これらの要因は、赤ちゃんがスムーズに体勢を変えるための物理的な障害となり得ます。

羊水の量が多すぎる、または少なすぎる場合

子宮内を満たしている羊水の量も、胎児の位置に影響を与えます。
羊水の量が多すぎる「羊水過多」の状態だと、赤ちゃんが動きすぎてしまい、出産間近になっても位置が固定されにくくなります。

逆に、羊水の量が少なすぎる「羊水過少」では、赤ちゃんが回転するための十分なスペースがなく、一度とった横向きの姿勢から動けなくなってしまうことがあります。
適切な羊水量は、赤ちゃんが自由に動きつつ、適切な時期に頭位に落ち着くために重要です。

胎盤の位置が子宮口に近い(前置胎盤など)

胎盤の位置も横位の原因となる場合があります。
胎盤が子宮の出口である子宮口を覆っていたり、非常に近い位置にあったりする「前置胎盤」や「低置胎盤」の場合、胎盤が障害物となって胎児の頭が骨盤の中に入ることができません。

赤ちゃんは頭を下に向けられず、子宮内の空いているスペースを探して横向きの位置に留まってしまうことがあります。
前置胎盤は超音波検査で診断され、出血のリスクもあるため、慎重な管理が求められます。

ママの骨盤が狭い

妊婦の骨盤が小さい、あるいは形が通常と異なる「狭骨盤」の場合、胎児の頭が骨盤にうまく収まらないことがあります。
赤ちゃんは、自分の頭がスムーズに入らないため、居心地の良い場所を探して横向きの姿勢をとることがあります。

骨盤の広さは、レントゲン撮影などで評価しますが、妊娠中は通常行われません。
出産が近づいても横位が治らない場合に、原因の一つとして考えられることがあります。
この場合も、経膣分娩は難しくなります。

双子などの多胎妊娠である

双子や三つ子などの多胎妊娠では、一人の赤ちゃんが占めるスペースが単胎妊娠に比べて狭くなります。
子宮の中で複数の赤ちゃんが窮屈な状態で過ごしているため、お互いの位置関係によって、いずれかの赤ちゃんが頭を下に向けられないことがあります。
その結果、一人が頭位でもう一人が骨盤位や横位になる、といった組み合わせが見られます。

限られたスペースの中でそれぞれが楽な姿勢をとろうとするため、横位になる確率が高まります。

胎児が横向きのままだと出産はどうなる?考えられるリスク

妊娠後期になっても胎児の横向きが治らない場合、出産方法や起こりうるリスクについて不安を感じるかもしれません。
横位のまま臨月を迎えると、通常の経膣分娩とは異なるアプローチが必要になります。
母子ともに安全な出産を迎えるために、どのような選択肢があり、どのような点に注意すべきかを事前に理解しておくことが大切です。

ここでは、横位のまま出産を迎える場合の流れとリスクを解説します。

自然分娩は困難で予定帝王切開になることがほとんど

横位のまま陣痛が始まっても、赤ちゃんの肩や背中が産道に引っかかってしまい、それ以上下りてくることはできません。
そのため、横位での経膣分娩は不可能であり、母子の安全を最優先して、あらかじめ手術日を決めて行う「予定帝王切開」での出産となります。

手術の時期は、正期産に入り、かつ陣痛や破水が起こる前の妊娠37週から38週頃に設定されるのが一般的です。
妊娠36週頃までの健診で横位が治っていなければ、帝王切開の具体的な日程が相談されます。

早期に破水すると「臍帯脱出」の危険性がある

横位の状態で最も注意すべきリスクの一つが、陣痛が来る前に破水してしまうことです。
頭位であれば赤ちゃんの頭が骨盤に栓をするような形になりますが、横位では子宮口との間に隙間ができてしまいます。

この状態で破水すると、羊水と一緒にへその緒(臍帯)が赤ちゃんより先に外へ出てしまう「臍帯脱出」を起こす危険性が高まります。
臍帯が赤ちゃんの体と産道に挟まれて圧迫されると、赤ちゃんへの酸素供給が止まり、非常に危険な状態に陥る可能性があります。

胎児の横向き(横位)はいつか治る?妊婦さんができるセルフケア

横位と診断されても、多くの場合は出産までに自然と頭位に戻ります。
過度に心配せず、まずはリラックスして過ごすことが大切です。
その上で、医師や助産師の許可を得て、赤ちゃんが回転しやすくなるよう促すセルフケアを試みるのも一つの方法です。

ここでは、自宅でできる横位の直し方として知られるセルフケアをいくつか紹介します。
ただし、必ずかかりつけ医に相談し、安全を確認してから行ってください。

医師の指導のもと「逆子体操」を試す

逆子の改善法としてよく知られているのが「逆子体操」です。
横位の場合にも効果が期待できることがあります。
代表的な方法として、四つん這いになってから胸を床につけ、お尻を高く持ち上げる「胸膝位」というポーズがあります。

この体勢を数分間保つことで、骨盤周辺のスペースを広げ、赤ちゃんが回転しやすくなるよう促します。
ただし、お腹の張りや体調がすぐれない時には無理に行わず、必ず医師や助産師の指導を受けてから、安全な範囲で試すようにしてください。

体を冷やさずリラックスできる環境を整える

体が冷えると血液の循環が悪くなり、お腹が張りやすくなります。
お腹が頻繁に張ると子宮が硬くなり、赤ちゃんが動き回るスペースが狭くなってしまいます。
靴下や腹巻を活用したり、温かい飲み物を飲んだり、ゆっくり入浴したりして、体を芯から温めることを心がけましょう。

また、ストレスを感じると体が緊張し、お腹も張りやすくなります。
音楽を聴いたり、好きな香りのアロマを焚いたりして、心身ともにリラックスできる時間を作ることが、結果的に赤ちゃんが動きやすい環境につながります。
お腹が苦しいと感じるときは無理をしないようにしましょう。

シムスの体位など楽な姿勢で横向きに寝る

寝るときの姿勢を工夫することも横位の改善に役立つと言われています。
一般的に赤ちゃんの背中が上側になるように横向きに寝ることで重力によって赤ちゃんが回転しやすくなるとされています。
例えば赤ちゃんの背中がママのお腹の左側にあるならママは左側を下にして寝るといった方法です。

抱き枕などを使ってお腹を支えるシムスの体位は、お腹が大きくなっても比較的楽に横向きで寝ることができる寝方です。
どの向きで寝るかは医師に確認し、自分が最も楽だと感じる姿勢で休むことが基本です。

お腹の赤ちゃんに優しく話しかけてみる

医学的な根拠は確立されていませんが、お腹の赤ちゃんに話しかけることも、試してみる価値のあるアプローチです。
リラックスした状態で、頭はこっちだよ」「くるっと回ってね」などと優しく声をかけてみましょう。
ママの声は赤ちゃんに届いていると言われており、話しかけることでママ自身のリラックス効果も高まります。

また、赤ちゃんが動くきっかけになるかもしれません。
胎動を感じながらコミュニケーションをとることで、不安な気持ちが和らぎ、穏やかな気持ちで過ごせるという側面もあります。

病院で行われる横向き(横位)の治療法

逆子体操などのセルフケアを続けても横位が治らない場合、医療機関で専門的な治療が行われることがあります。
これらの治療は、すべての妊婦が対象となるわけではなく、母体や胎児の状態、週数、実施できる施設の条件などを考慮した上で慎重に検討されます。

もし医師から提案があった場合は、効果やリスクについて十分に説明を受け、納得した上で選択することが重要です。

お腹の外から胎児を回転させる「外回転術」

外回転術(ECV)は、医師が妊婦のお腹の上から手を使って、直接胎児をゆっくりと回転させ、頭位に戻す処置です。
一般的に妊娠36週以降に、超音波で赤ちゃんの位置や心拍を確認しながら慎重に行われます。

成功すれば帝王切開を回避できる可能性がありますが、処置中に胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離や、胎児の状態が悪化するリスクも伴います。
そのため、緊急帝王切開に対応できる設備が整った医療機関で、特定の条件を満たした場合にのみ実施が検討されます。

鍼灸院で逆子のお灸をしてもらう

東洋医学の分野では、逆子の治療にお灸が用いられることがあります。これは横位の場合も同様です。
足の小指にある「至陰(しいん)」や、くるぶしにある「三陰交(さんいんこう)」といった特定のツボを温めることで、全身の血行を促進し、子宮の緊張を和らげます。
これにより、赤ちゃんが自発的に回転しやすい環境を整える効果が期待されています。

ただし、お灸は医療行為ではないため、まずはかかりつけの産婦人科医に相談し、許可を得た上で、妊婦への施術経験が豊富な信頼できる鍼灸院を選ぶことが重要です。

まとめ

胎児が横向きになる「横位」は、妊娠中期には決して珍しい状態ではなく、多くは出産までに自然に頭位へと戻ります。
原因は子宮の形や羊水量、胎盤の位置など様々で、特定できないことも少なくありません。

横位と診断されても、逆子体操や体を温めるなどのセルフケアを試みることができますが、必ず医師の指導のもとで行う必要があります。
もし横位が治らなくても、外回転術のような治療法や、予定帝王切開という安全な出産方法があります。
不安なことは一人で抱え込まず、健診の際に医師や助産師に相談してください。

この記事の監修者

髙下葉月
大島はり灸院 院長。
呉竹鍼灸柔整専門学校卒業。
高校卒業後から5年間、鍼灸院・介護施設にて臨床経験を積む。
資格取得後は本八幡鍼灸院に入社し、2022年に系列院である大島はり灸院の院長に就任。
現在は妊娠中・産後ケアを中心に、逆子・マタニティ腰痛・肩こり・頭痛・むくみなど幅広い不調に対応している。

【資格】
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、トコちゃんベルトアドバイザー

【経歴】
呉竹鍼灸柔整専門学校 卒業(https://www.kuretake.ac.jp/
本八幡鍼灸院入社
大島はり灸院院長就任

【SNS】
インスタグラム:https://www.instagram.com/oojimaharikyuin/?hl=ja
アメーバブログ:https://ameblo.jp/oojima-harikyu/