逆子はいつまで大丈夫?自然に治る時期と逆子体操の正しいやり方
妊娠中に逆子と診断されると、無事に出産できるか不安に感じるかもしれません。
しかし、多くの逆子は妊娠週数が進むにつれて自然に治るため、過度に心配する必要はありません。
この記事では、逆子がいつまでなら大丈夫なのか、自然に治る時期の目安や、改善が期待できる逆子体操の正しい方法について解説します。
もし逆子が治らなかった場合の対処法も紹介するので、今後の見通しを立てるための参考にしてください。
そもそも逆子(骨盤位)とはどんな状態?
逆子とは医学的には「骨盤位」と呼ばれ、お腹の中の赤ちゃんの位置が正常とは逆になっている状態を指します。
通常の出産では赤ちゃんの頭が子宮口の方を向いている「頭位」ですが、逆子ではお尻や足が下になっています。
妊娠中期までは赤ちゃんが活発に動くため逆子の状態は珍しくありませんが、週数が進むにつれて多くの場合は自然に頭位へと戻ります。
お腹の中で赤ちゃんが頭を上にしている状態を指します
逆子(骨盤位)とは、通常は子宮口側にあるはずの赤ちゃんの頭が、上(母体の胸側)を向いている状態のことです。
妊娠中期までは、子宮内のスペースに余裕があるため、赤ちゃんは自由に動き回り、一時的に逆子になることはよくあります。
そのため、この時期に逆子と診断されても、ほとんどの場合は自然に頭位に戻るのを待つことになります。
妊娠8ヶ月(28~31週)や9ヶ月(32~35週)になっても逆子のままである割合は減っていき、最終的に分娩時まで逆子である割合は、全体の3~5%程度です。
妊娠中の赤ちゃんの位置は変わりやすいため、早い段階で診断されても焦らず様子を見守ります。
妊娠週数ごとの逆子の割合【いつまで様子を見る?】
妊娠週数によって逆子である割合は大きく異なります。
赤ちゃんがまだ小さく、子宮内で動き回るスペースが十分にある妊娠中期(16~27週)では、約30~40%が逆子の状態です。
しかし、週数が進むにつれて赤ちゃんの体は大きくなり、子宮内のスペースが狭くなるため、自然と頭が重い頭位に落ち着くことが多くなります。
妊娠28週頃になると逆子の割合は約25%に、32週頃には約15%まで減少します。
そして、臨月である妊娠36週頃になると、その割合は5%程度になります。
このため、多くの産院では妊娠30週頃までは特別な指導はせず、自然に頭位になるのを待つのが一般的です。
30週を過ぎても逆子のままの場合、逆子体操などの指導が始まることがあります。
赤ちゃんが逆子になるのはなぜ?考えられる主な原因
赤ちゃんが逆子になる明確な原因は、実は完全には解明されていません。
しかし、いくつかの要因が関係していると考えられており、それらは大きく「ママの身体的な要因」と「お腹の赤ちゃん側の要因」に分けられます。
例えば、子宮の形や羊水の量、胎盤の位置などが影響する場合もあれば、双子などの多胎妊娠で子宮内のスペースが限られることも原因の一つとされています。
原因が特定できないケースも少なくありません。
ママの身体的な要因で逆子になりやすいケース
母体側の要因として、子宮の形状や環境が挙げられます。
例えば、子宮筋腫や子宮内膜ポリープがあったり、双角子宮などの子宮奇形があったりすると、子宮内のスペースが変形・縮小し、赤ちゃんが回転しにくくなることがあります。
また、骨盤が狭い場合も、赤ちゃんの頭が骨盤にはまりにくく、逆子になる可能性が高まります。
羊水の量が多すぎる「羊水過多」では赤ちゃんが動きすぎてしまい、逆に少なすぎる「羊水過小」では回転するスペースが足りずに逆子のままになることがあります。
さらに、胎盤が子宮口の近くにできる前置胎盤も、赤ちゃんの頭が下がるのを妨げるため、逆子の原因となり得ます。
お腹の赤ちゃんの状態が影響するケース
赤ちゃん側の状態が原因で逆子になることもあります。
へその緒が短い、あるいは赤ちゃんの首や体に巻き付いている(臍帯巻絡)場合、動きが制限されてしまい、頭位に戻るのが難しくなる可能性があります。
また、水頭症などで赤ちゃんの頭が通常より大きい場合も、子宮の下の方にある狭い骨盤腔に頭が収まりにくく、逆子になりやすい傾向があります。
双子や三つ子といった多胎妊娠では、子宮内のスペースが一人の時よりも限られるため、お互いの位置関係によってどちらか、あるいは両方が逆子になる可能性が高くなります。
これらの要因があっても自然に治るのを待つのが基本で、必ずしも逆子になるわけではありません。
逆子はいつまでに治る?自然に頭位に戻る確率と時期
逆子はいつまでに治るのかという点は、多くの妊婦が気になるところです。
ほとんどの逆子は、特別なことをしなくても自然に治る可能性が高いとされています。
特に、赤ちゃんがまだ子宮内を自由に動くことができる妊娠30週頃までは、自然に頭位に戻ることが多いです。
赤ちゃんが大きくなり、お腹の中で回るスペースが少なくなる前に、自然な回転が期待されます。
そのため、妊娠中期に逆子と診断されても、まずは焦らずに様子を見ることが一般的です。
多くの逆子が妊娠30週頃までに自然に治る理由
妊娠30週頃までに多くの逆子が自然に治るのには理由があります。
この時期の赤ちゃんは、まだ子宮内で活発に動けるだけのスペースと羊水量が確保されているため、自分で体勢を変えることができます。
また、人間の体は頭部が最も重いため、重力によって自然と頭が下の子宮口側に向きやすいと考えられています。
妊娠後期に入ると、赤ちゃんの体は急成長し、子宮内のスペースは徐々に狭くなっていきます。
そのため、一度体勢が決まると、大きな回転が難しくなります。
このような理由から、妊娠後期が本格化する前の妊娠30週頃が一つの目安とされており、この時期を過ぎると自然に治る確率は少しずつ低下していきます。
妊娠後期(34週以降)でも逆子が治らない場合の対処法
妊娠34週を過ぎても逆子が治らない場合、自然に頭位に戻る可能性は低くなるため、医療的な介入が検討され始めます。
対処法の一つとして「外回転術」があり、これは医師がお腹の上から手で赤ちゃんの位置をゆっくりと回転させる方法です。
この処置は、緊急時に備えて帝王切開が可能な施設で、妊娠36~37週頃に行われるのが一般的です。
外回転術が成功しなかった場合や、リスクを考慮して実施しない場合は、母子への安全を最優先し、予定帝王切開による出産が選択されます。
出産方法は、妊婦と赤ちゃんの状態を総合的に判断して決定されるため、医師と十分に話し合うことが求められます。
自宅でできる逆子体操|いつから始める?正しい方法と注意点
逆子と診断された際に、改善策として提案されることがあるのが逆子体操です。
これは、特定のポーズをとることで、赤ちゃんが自然に回転しやすい子宮内の環境を作ることを目的としています。
逆子体操をいつから始めていいかは、妊婦の状態によって異なるため、必ずかかりつけの医師や助産師に相談し、許可が出てから行いましょう。
自己判断で始めると、お腹の張りを誘発するなどのリスクもあるため注意が必要です。
【逆子体操1】胸膝位(きょうしつい)のやり方
胸膝位は、逆子体操として広く知られている方法の一つです。
まず、床に四つん這いになり、手は肩幅に、膝は腰幅に開きます。
その姿勢から、胸と肩をゆっくりと床につけ、お尻はできるだけ高く突き上げます。
この姿勢を5分から15分ほど保ちます。
このポーズは、お尻を高くすることで骨盤周りの圧迫を解き、赤ちゃんが回転するためのスペースを作り出すことを目的としています。
就寝前などリラックスした状態で行うのが効果的とされています。
逆子治療として、この体操と合わせて鍼灸院でお灸を勧められることもありますが、いずれも実施前には医師への相談が必要です。
気分が悪くなったり、お腹が張ったりした場合は、無理せず中止しましょう。
体調によっては逆効果になる可能性もあります。
【逆子体操2】側臥位(そくがい)のやり方
側臥位は、横向きに寝るだけの比較的簡単な逆子体操です。
この方法を行う際は、まず健診などで赤ちゃんの背中が子宮の左右どちら側にあるかを確認しておく必要があります。
そして、赤ちゃんの背中がある方を上にして横向きに寝ます。
例えば、赤ちゃんの背中が右側にあると診断されたら、体の左側を下にして寝る体勢をとります。
この姿勢を保つことで、赤ちゃんの重みで体が沈み込み、自然な回転を促す効果が期待されます。
ただし、側臥位の有効性については医学的な見解が分かれており、すべての医療機関で指導されているわけではありません。
実施する際には、自己判断で行わず、必ず医師や助産師の指示に従い、リスクについても確認してください。
逆子体操を始める前に必ず医師に相談しよう
逆子体操は、すべての妊婦に推奨されるわけではありません。
切迫早産の兆候がある、お腹が張りやすい、前置胎盤と診断されている、多胎妊娠であるといった場合は、逆子体操が子宮収縮を促し、症状を悪化させるリスクがあるため禁忌とされています。
必ず事前にかかりつけの医師や助産師に相談し、実施しても問題ないかを確認してください。
もし逆子が治らず帝王切開での出産が決まった場合、手術は妊娠38週頃に行われるのが一般的です。
無痛分娩を希望していても、逆子の場合は安全のために帝王切開が選択されます。
出産計画について不明な点があれば、事前に医師とよく話し合っておきましょう。
逆子体操で治らないときに検討される医療的アプローチ
自宅での逆子体操を続けても効果が見られなかった場合、産科ではより専門的な医療的アプローチが検討されます。
これらの方法は、経膣分娩に伴うリスクを防ぐことを目的としています。
代表的なものに、医師がお腹の外から直接赤ちゃんを回転させる「外回転術」があります。
この処置が成功しない、あるいは実施できない場合には、母子双方の安全を確保するために、最終的な出産方法として「帝王切開」が計画されます。
外回転術とはどんな治療?成功率やリスクについて
外回転術は、医師がお腹の表面から手を使って、子宮内の赤ちゃんをゆっくりと回転させ、頭位に戻す医療処置です。
通常、妊娠36週以降に、緊急帝王切開が可能な設備が整った医療機関で実施されます。
処置中は、超音波で赤ちゃんの位置を確認し、胎児心拍数モニターで赤ちゃんの状態を常に監視します。
成功率は施設や症例にもよりますが、およそ60%前後とされています。
リスクとして、常位胎盤早期剥離、破水、胎児の心拍低下などが挙げられますが、その頻度は高くありません。
処置を受けるかどうかは、医師からリスクと成功率について十分な説明を受け、心配な点も相談した上で慎重に判断します。
最終的な出産方法としての帝王切開
逆子が分娩時まで治らなかった場合、母子への安全を最優先に考え、予定帝王切開が出産方法として選択されることがほとんどです。
逆子のまま経膣分娩を行うと、赤ちゃんの体の中で最も大きい頭が最後に出てくるため、産道に引っかかったり、へその緒が圧迫されて赤ちゃんが低酸素状態になったりするリスクが高まります。
予定帝王切開は通常、陣痛が始まる前の妊娠38週頃に計画されます。
外回転術などで一度は頭位に戻ったとしても、ごく稀に再び逆子に戻るケースもあります。
その場合も、最終的には帝王切開が検討されます。
帝王切開で出産したその後は、母体の回復状態を見ながら入院期間が決まります。
逆子を改善するために普段の生活で意識したいこと
逆子の改善には、逆子体操や医療的アプローチ以外にも、日常生活の中で意識できることがあります。
直接的な効果が科学的に証明されているわけではありませんが、身体を温めたり、リラックスしたりすることは、お腹の張りを和らげ、胎児が動きやすい子宮環境を整えるのに役立つと考えられています。
逆子が治る明確なリミットは決まっていません。
もし逆子だったとしても、焦らずに普段の生活からできることを試してみてはいかがでしょうか。
身体を冷やさない服装や食事を心がける
身体の冷えは血行不良を招き、子宮の筋肉が硬くなる原因になると言われています。
お腹が張りやすくなると、赤ちゃんが子宮内で動きにくくなり、逆子が治りにくくなる可能性があります。
そのため、普段から身体を冷やさない工夫を心がけることが推奨されます。
服装は、腹巻やレッグウォーマー、靴下などを活用して、特にお腹周りや足元を温めましょう。
体を締め付けるような服装は避け、ゆったりとしたマタニティウェアを選ぶのが基本です。
食事面では、体を温める作用のある根菜類や生姜などを積極的に取り入れ、冷たい飲み物や食べ物は控えるようにしましょう。
入浴もシャワーで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのが効果的です。
リラックスできる時間を確保してストレスを溜めない
精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、全身の筋肉を緊張させる原因となります。
これには子宮の筋肉も含まれるため、ストレスを感じるとお腹が張りやすくなることがあります。
お腹の張りが頻繁に起こると、赤ちゃんが自由に動くのを妨げてしまう可能性があります。
そのため、妊娠中は意識的にリラックスできる時間を作ることが大切です。
好きな音楽を聴いたり、温かいハーブティーを飲んだり、アロマの香りを楽しんだりと、自分が心地よいと感じる方法を見つけましょう。
また、深い呼吸を意識するだけでも、心身の緊張を和らげる効果が期待できます。
パートナーに協力してもらい、穏やかな気持ちで過ごせる環境を整えることも重要です。
逆子に関するよくある疑問を解消
ここでは、逆子に関して多くの妊婦さんが抱きがちな疑問についてお答えします。
一度治った逆子がまた元に戻ることはある?
一度頭位に治った赤ちゃんが、再び逆子の状態に戻ってしまうことはあり得ます。
特に、まだ赤ちゃんがそれほど大きくなく、子宮内に回転するスペースが十分にある妊娠34週頃までは、赤ちゃんの位置が変わりやすいため、再度逆子になる可能性は否定できません。
しかし、妊娠週数が進み、赤ちゃんが大きくなって子宮内のスペースが狭くなってくると、大きな回転はしにくくなるため、一度頭位に落ち着けば、そのままの位置を保つことが多くなります。
万が一、再び逆子に戻ってしまったとしても、妊婦健診で医師が確認し、その時点での最適な対処法を提案してくれます。
逆子のままだと胎児や母体にどんな影響があるの?
妊娠中に逆子であること自体が、お腹の赤ちゃんの成長や発育に直接的な悪影響を及ぼすことはありません。
また、逆子だからといって母体の健康に問題が生じることも基本的にはありません。
逆子で最も懸念されるのは、出産時のリスクです。
逆子のまま経膣分娩を試みた場合、赤ちゃんの足やお尻から先に出てくるため、一番大きい頭が最後に出てくる際に産道に引っかかってしまったり(児頭娩出困難)、へその緒が赤ちゃんの体と産道の間に挟まれて圧迫され、赤ちゃんが低酸素状態に陥ったりする危険性があります。
こうした分娩時のリスクを回避するために、現在では逆子の出産では帝王切開が選択されるのが一般的です。
まとめ
逆子は妊娠中期では頻繁に見られますが、その多くは妊娠30週頃までに自然に頭位に戻ります。
もし30週を過ぎても逆子のままであっても、逆子体操や外回転術といった対処法が検討されます。
逆子になる原因は複合的であり、特定できないことも少なくありません。
日常生活では、体を冷やさずリラックスして過ごすことが、お腹の張りを和らげることにつながります。
最終的に逆子が治らなかった場合でも、帝王切開という安全な出産方法があります。
過度に心配せず、かかりつけの医師とよく相談しながら、落ち着いて出産に備えましょう。
髙下葉月 【資格】 【経歴】 【SNS】この記事の監修者

大島はり灸院 院長。
呉竹鍼灸柔整専門学校卒業。
高校卒業後から5年間、鍼灸院・介護施設にて臨床経験を積む。
資格取得後は本八幡鍼灸院に入社し、2022年に系列院である大島はり灸院の院長に就任。
現在は妊娠中・産後ケアを中心に、逆子・マタニティ腰痛・肩こり・頭痛・むくみなど幅広い不調に対応している。
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、トコちゃんベルトアドバイザー
呉竹鍼灸柔整専門学校 卒業(https://www.kuretake.ac.jp/)
本八幡鍼灸院入社
大島はり灸院院長就任
インスタグラム:https://www.instagram.com/oojimaharikyuin/?hl=ja
アメーバブログ:https://ameblo.jp/oojima-harikyu/






