逆子で生まれた子の特徴とは?性格や発達への影響も解説

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妊娠後期に「逆子」と診断されると、出産のことはもちろん、生まれてくる赤ちゃんの健康やその後の成長について気になる方も多いかもしれません。
「逆子で生まれた子には特定の特徴がある」といった情報を見聞きし、不安になることもあるでしょう。しかし、逆子で生まれたことが、子どもの身体、性格、発達に特定の、あるいは永続的な影響を与えるという医学的根拠は確立されていません。ただし、股関節脱臼のリスクが高まる可能性は指摘されています。
この記事では、逆子の原因から、逆子で生まれることが子どもの身体や発達に与える影響について、医学的な情報をもとに解説します。

出産に関する不安を解消し、正しい知識を得るための一助としてください。

そもそも「逆子」とは?お腹の赤ちゃんの状態を解説

「逆子」とは、医学的には「骨盤位」と呼ばれ、子宮の中で赤ちゃんの頭が上を向き、お尻や足が子宮口側(下側)になっている状態を指します。
妊娠中期の赤ちゃんは子宮内を自由に動き回っているため、一時的に逆子になることは珍しくありません。

しかし、出産が近づく妊娠後期になると、ほとんどの赤ちゃんは自然に頭が下にある「頭位」に落ち着きます。
妊娠30週頃を過ぎても頭が下にならない場合に、一般的に逆子と診断されることが多いです。
足や膝が下にあるなど、逆子にもいくつかの種類が存在します。

なぜ赤ちゃんは逆子になるの?考えられる主な原因

逆子になる原因は一つに特定できないことが多く、複数の要因が絡み合っていると考えられています。
母親の子宮や骨盤の形状、胎盤の位置、羊水の量といった母体側の要因や、双子などの赤ちゃん側の要因が挙げられます。

しかし、これらのいずれにも当てはまらず、はっきりとした原因が分からないケースも少なくありません。
そのため、逆子であることを母親が自身の責任と感じる必要はないのです。
逆子で生まれた子の特徴を心配する前に、まずはその原因について理解を深めましょう。

ママの子宮や骨盤の形が関係しているケース

母親の子宮や骨盤の形状が、赤ちゃんが回転するスペースを制限し、逆子の原因となることがあります。
例えば、子宮に筋腫があったり、子宮の形が通常と異なる子宮奇形(双角子宮など)であったりすると、赤ちゃんが動きにくくなり、頭を下に向けられない場合があります。

また、骨盤が狭い「狭骨盤」の場合も、赤ちゃんの頭が骨盤にはまりにくく、逆子のままになる一因とされています。
これらの身体的な特徴は、生まれてくる赤ちゃんの性格形成とは無関係であり、母親自身がコントロールできるものではありません。

胎盤の位置や羊水の量が影響するケース

胎盤の位置異常や羊水の量の問題も、逆子の一因となります。
胎盤が子宮口の近くにできてしまう「前置胎盤」では、胎盤が赤ちゃんの頭の行く手をふさいでしまい、回転を妨げることがあります。

また、羊水の量も関係し、羊水が多すぎる「羊水過多」の状態では赤ちゃんが動きすぎて逆子の位置で固定されにくく、逆に羊水が少なすぎる「羊水過少」では赤ちゃんが回転するためのスペースと潤滑性が足りず、逆子になってしまうことがあります。
逆子で生まれた子への影響を考える上で、こうした妊娠中の状態が背景にあることも理解しておく必要があります。

双子など赤ちゃん側の要因によるケース

赤ちゃん側に逆子の要因がある場合も考えられます。
代表的なのは、双子や三つ子といった多胎妊娠です。
複数の赤ちゃんが子宮内にいるため、一人あたりのスペースが狭くなり、それぞれが自由に動いて頭を下に向けることが難しくなります。
その結果、少なくとも一人が逆子になる確率が高まります。

また、へその緒が短い、あるいは赤ちゃんの首や体に巻き付いている「臍帯巻絡(さいたいけんけんらく)」によって、物理的に回転が妨げられているケースもあります。
これらは赤ちゃん自身の状況に起因するもので、予防することは困難です。

逆子で生まれた子にみられるといわれる身体的な特徴

逆子で生まれた子には、股関節が柔らかく開排制限が見られることや、まれに「発育性股関節形成不全」を起こしやすいという指摘があります。
これは、子宮内で足が伸びた状態や開脚しにくい姿勢が続くことで、股関節のはまりが浅くなるためと考えられています。

ただし、逆子で生まれたすべての赤ちゃんに起こるわけではありません。
生後の1か月健診などでは股関節の状態を注意深く診察するため、そこで異常が指摘されれば適切な治療や経過観察が行われます。
過度に心配する必要はなく、健診をきちんと受けることが重要です。

「頑固でマイペース」は本当?性格に関するウワサについて

逆子で生まれた子は頑固、マイペース、あるいは個性的といった俗説を耳にすることがありますが、これらに医学的・科学的な根拠は全くありません。
人の性格は、生まれ持った気質に加え、育つ環境、親との関わり、様々な経験を通して形成されていく非常に複雑なものです。
出産時の赤ちゃんの向きが、その後の長期的な性格形成に直接影響を及ぼすとは考えられていません。

このような噂は、昔の人が逆子での出産が困難であったことなどから作り出したイメージに過ぎず、一つの個性として捉える程度に留めるのがよいでしょう。

逆子で生まれることは脳の発達に影響するのか解説

逆子での出産が赤ちゃんの脳の発達に何か影響を与えるのではないかと心配する声も聞かれます。
特に、出産時のリスクと関連付けて不安を感じる方もいるかもしれません。

しかし、赤ちゃんがお腹の中で逆子の状態であること自体が、直接的に脳の発達やその後の知能に影響を及ぼすという医学的な根拠は確認されていません。
重要なのは、逆子の状態そのものではなく、出産時にどのような経過をたどるかです。
現代の産科医療では、母子の安全を最優先にした分娩方法が選択されます。

逆子そのものが発達に直接関係するわけではない

胎内で逆子の状態であったことが、出生後の脳の発達や運動機能、あるいは発達障害の直接的な原因になるという科学的根拠はありません。
お腹の中で赤ちゃんがどのような向きで過ごしていたかと、脳の神経回路が形成されるプロセスは別の問題です。

発達障害の原因は非常に複雑で、多くの場合は遺伝的な要因や様々な環境要因が絡み合って起こると考えられており、胎内での姿勢ひとつで決まるものではありません。
逆子であったという事実と、子どもの発達を結びつけて過度に心配する必要はないのです。

出産時のトラブルが脳に影響を及ぼす可能性

逆子での出産、特に経腟分娩を試みる場合、通常の頭位分娩と比較してリスクが高まる可能性があります。
最も懸念されるのは、体が出た後に頭がなかなか出てこない「後続児頭娩出困難」や、へその緒が圧迫されて赤ちゃんへの酸素供給が一時的に滞る「臍帯圧迫」です。

重度の低酸素状態が長く続くと、脳にダメージが及び、脳性麻痺などの後遺症につながる可能性も否定できません。
こうしたリスクを回避するため、現在の日本では、逆子の場合は母子の安全を最優先し、予定帝王切開が選択されることがほとんどです。

逆子と診断されてから出産までの流れ

妊娠後期に逆子と診断された場合、まずは自然に頭位に戻るのを待つ期間があります。
その間、医師の指導のもとで逆子を治すための体操を試みることがあります。
それでも逆子が治らない場合は、出産方法の検討に入ります。

赤ちゃんの大きさや逆子の種類、母体の状態などを総合的に評価し、経腟分娩が可能か、あるいは帝王切開が望ましいかを医師と相談します。
最終的には、母子にとって最も安全な方法を選択することになり、多くの場合は予定帝王切開での出産計画が立てられます。

医師の指導のもとで行う逆子を治すための方法

逆子を治す試みとして、まず「逆子体操」が指導されることがあります。
これは、胸を低くしてお尻を高く保つポーズなどを一定時間とることで、赤ちゃんが回転しやすくなるよう促すものです。
ただし、効果には個人差があり、お腹の張りなどを感じた場合はすぐに中止する必要があります。

もう一つは「外回転術」という医療行為で、これは産科医がお腹の上から手で直接赤ちゃんを回転させる方法です。
成功率も高いですが、常位胎盤早期剥離などのリスクも伴うため、実施できる施設や条件は限られます。
いずれの方法も自己判断で行わず、必ず医師の指導に従ってください。

逆子の場合に選択されることが多い出産スタイル

妊娠36週以降も逆子の状態が続いている場合、出産方法として最も多く選択されるのは「予定帝王切開」です。
これは、経腟分娩に伴うリスク、特に分娩時にへその緒が圧迫されて赤ちゃんが低酸素状態に陥る危険性を避けるためです。
赤ちゃんの安全を最優先に考えた選択といえます。

条件によっては経腟分娩が試みられることもありますが、緊急帝王切開に切り替えられる体制が整った医療機関に限られます。
最終的な出産方法は、妊婦と家族の意向も踏まえつつ、医師が医学的見地から総合的に判断します。

逆子で生まれた子の育児で特別な配慮は必要?

逆子で生まれたからといって、日々の育児において何か特別な配慮が求められることは基本的にありません。
母乳やミルクの飲み、睡眠、成長のペースなど、他の赤ちゃんと同様に接して問題ないです。

ただし、前述の通り「発育性股関節形成不全」のリスクが少し高いとされるため、乳児健診での股関節のチェックは重要になります。
オムツ替えの際に足の開き具合を気にするなど、普段の生活の中で少し注意を払うと良いかもしれません。
もし健診で異常が指摘された場合は、医師の指示に従って適切な対応を行います。

まとめ

逆子で生まれることと、その子の将来の性格や発達との間に直接的な因果関係を示す医学的根拠はありません。
「頑固になる」といった俗説は科学的裏付けのないものです。
逆子になる原因は、子宮の形や胎盤の位置など様々であり、母親の責任ではありません。
逆子で生まれた子に見られる身体的特徴として発育性股関節形成不全のリスクが挙げられますが、これは乳児健診で適切にチェックされます。

出産方法は母子の安全を最優先に帝王切開が選択されることが多く、育児において特別な配慮は基本的に不要です。
正しい知識を持ち、過度に心配せずに出産と育児に臨むことが重要です。

この記事の監修者

髙下葉月
大島はり灸院 院長。
呉竹鍼灸柔整専門学校卒業。
高校卒業後から5年間、鍼灸院・介護施設にて臨床経験を積む。
資格取得後は本八幡鍼灸院に入社し、2022年に系列院である大島はり灸院の院長に就任。
現在は妊娠中・産後ケアを中心に、逆子・マタニティ腰痛・肩こり・頭痛・むくみなど幅広い不調に対応している。

【資格】
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、トコちゃんベルトアドバイザー

【経歴】
呉竹鍼灸柔整専門学校 卒業(https://www.kuretake.ac.jp/
本八幡鍼灸院入社
大島はり灸院院長就任

【SNS】
インスタグラム:https://www.instagram.com/oojimaharikyuin/?hl=ja
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