妊娠中期のこむら返り(足のつり)原因と夜中でもできる対処法・予防策

妊娠中期のこむら返り(足のつり)原因と夜中でもできる対処法・予防策

妊娠中期に入ると、多くの妊婦が夜中や明け方に突然の足の痛みで目覚める「こむら返り」を経験します。
こむら返りとは、主にふくらはぎの筋肉が意図せず強く収縮し、激しい痛みを伴う現象です。
これは妊婦特有の体の変化が原因で起こりやすくなります。

この記事では、なぜ妊娠中期にこむら返りが増えるのか、その原因と、激痛が起きた際の具体的な対処法、そして再発を防ぐための予防策まで詳しく解説します。

妊娠中期にこむら返りが頻発する3つの主な原因

妊娠中期になると、なぜ夜中などにこむら返りが起こりやすくなるのでしょうか。
その理由は、妊婦の体に起こる急激な変化にあります。
主な原因として、胎児の成長に伴う「ミネラル不足」、大きくなる子宮による「血行不良」、そして体重増加による「筋肉への負担」の3つが挙げられます。

これらの要因が複合的に絡み合うことで、筋肉が痙攣しやすい状態になります。

赤ちゃんに栄養がいくことで起こるミネラル不足

こむら返りの大きな原因の一つが、ミネラルバランスの変化です。
お腹の赤ちゃんの骨や歯を形成するため、母体からはカルシウムが優先的に使われます。
また、筋肉の収縮や弛緩を調整するマグネシウムやカリウムといったミネラルも、妊娠中は不足しがちになります。

これらのミネラルは、神経の伝達をスムーズにしたり、筋肉の正常な働きを維持したりする上で不可欠な栄養素です。
そのため、ミネラルが不足すると筋肉が異常な興奮状態に陥りやすく、痙攣を引き起こす原因となります。

大きくなった子宮による足の血行不良

妊娠中期から後期にかけて子宮が急速に大きくなると、骨盤内にある太い血管、特に下半身から心臓へ血液を戻す静脈が圧迫されます。
この圧迫が原因で、足の血流が滞りやすくなり、血行不良を引き起こします。
血行が悪くなると、筋肉に必要な酸素や栄養素が届きにくくなる一方で、疲労物質が溜まりやすくなります。

さらに、足先が冷えやすくなることで筋肉が硬直し、些細な刺激でも痙攣を起こしやすい状態になってしまうのです。

体重増加でふくらはぎの筋肉にかかる負担

妊娠による体重の増加は、体を支える足、特にふくらはぎの筋肉に大きな負担をかけ続けます。
日中、重くなった体を支えるために常に緊張状態にあるふくらはぎの筋肉は、疲労が蓄積しやすくなっています。
この状態は、筋肉痛に近い状態とも言えます。

一日中頑張った筋肉が、就寝してリラックスしようとする際に、うまく弛緩できずに異常な収縮を起こしてしまうことが、こむら返りの原因となります。
特に運動不足などで筋肉量が少ない場合、より負担が大きくなる傾向があります。

【夜中でもOK】こむら返りの激痛を和らげる即効ストレッチ

夜中に突然の激痛で目が覚めたとき、慌てずにできる対処法を知っておくことが大切です。
こむら返りは、収縮した筋肉をゆっくりと伸ばす対策が最も効果的です。
まずは落ち着いて、安全な体勢で行えるストレッチを試みましょう。

痛みが引いた後のケアも、筋肉の回復を助け再発防止につながります。
ここでは、ベッドの上でもできる即効性のある対処法を3ステップで紹介します。

つま先をゆっくりと体の方へ引き寄せる

足がつってしまったら、まずは膝を伸ばした状態を意識します。
仰向けのままでも、座った状態でも構いません。
つっている方の足のつま先を手で掴み、ゆっくりと自分の体の方へ向かって引き寄せ、アキレス腱からふくらはぎ全体の筋肉をじっくりと伸ばしましょう。

もしつま先に手が届かない場合は、壁に足の裏を押し付けたり、タオルを足の裏に引っかけて手前に引いたりする対処法も有効です。
痛みが和らぐまで、20〜30秒ほどその状態を維持してください。

痛みが引いた後にふくらはぎを優しくさする

ストレッチで激しい痛みが治まったら、硬直していた筋肉を優しくほぐしてあげましょう。
ふくらはぎを下から上へ、つまり足首から膝の裏に向かって、手のひらでゆっくりとさするようにマッサージします。
これは血行を促進し、溜まった疲労物質を流す助けとなります。

このとき、痛みを感じるほど強く揉むのは避けてください。
筋肉の繊維を傷つけてしまう可能性があるため、あくまでも優しくなでる程度のマッサージを心がけることが大切な対処法です。

ホットタオルなどで温めて血行を促す

痛みが落ち着いた後のケアとして、ふくらはぎを温めるのも効果的な対処法です。
温めることで血管が拡張し、血行がさらに促進されるため、筋肉の緊張が和らぎ、回復を早める効果が期待できます。

夜中にすぐできる方法としては、濡らしたタオルを電子レンジで温めて作る蒸しタオルや、湯たんぽ、カイロなどを活用するのが便利です。
心地よいと感じる温度で、5〜10分程度温めると、筋肉がリラックスして楽になります。

こむら返りの再発を防ぐ!今日からできる5つの予防策

一度経験すると「またあの痛みが来るのでは」と不安になるこむら返りですが、毎日の生活習慣を見直すことで、そのリスクを軽減できる可能性があります。
大切なのは、こむら返りの原因となるミネラル不足や血行不良、筋肉の疲れを日頃からケアしておくことです。

ここでは、今日からすぐに始められる5つの簡単な予防法や対策を紹介します。
無理のない範囲で、毎日の習慣に取り入れてみましょう。

食事でマグネシウムやカルシウムを意識的に摂る

筋肉の正常な働きに不可欠なカルシウムとマグネシウムを食事からしっかり摂ることが、有効な予防法です。
カルシウムは牛乳やヨーグルトなどの乳製品、小魚、豆腐などに多く含まれます。
マグネシウムは、ほうれん草などの葉物野菜、ナッツ類、ひじきやわかめなどの海藻類、バナナから摂取できます。

これらの栄養素はチームで働くため、バランス良く摂ることが大切です。
普段の食事に一品加えることを意識してみてください。

就寝前も含め、こまめな水分補給を心がける

体内の水分が不足すると血液が濃縮され、血流が悪化しやすくなります。
また、電解質のバランスも崩れやすくなるため、こむら返りの引き金になり得ます。
特に夏場や汗をかいた後だけでなく、冬場の乾燥した環境でも意識的な水分補給が必要です。

日中に喉が渇く前に飲む習慣をつけるとともに、就寝前にコップ1杯の白湯や常温の水を飲むのも手軽で効果的な予防法です。

レッグウォーマーや靴下で足首を冷やさない

体の冷えは血行不良の大きな原因となり、筋肉を硬直させます。
特に足首やふくらはぎを冷やさないように注意しましょう。
就寝時には、締め付けの緩いレッグウォーマーやマタニティ用の靴下を着用する予防法がおすすめです。

夏でも、冷房の効いた部屋では気づかないうちに足元が冷えていることがあります。
シャワーだけでなく湯船に浸かって体を芯から温める習慣も、全身の血行を良くするために効果的です。

寝る前にふくらはぎを軽くストレッチする習慣をつける

日中の活動で疲れて凝り固まったふくらはぎの筋肉を、寝る前にリセットする習慣は非常に有効な予防法です。
壁に手をついてアキレス腱を伸ばすストレッチや、椅子に座って足首をゆっくりと回すだけでも効果があります。

また、床に座って開脚し、片方の足裏をもう片方の太ももにつけて体を前に倒すストレッチも、ふくらはぎから太もも裏までを心地よく伸ばせます。
毎晩数分でも続けることが大切です。

抱き枕を活用して楽な寝姿勢(シムス位)を保つ

お腹が大きくなると、仰向けで寝るのがつらくなり、無意識に体に負担のかかる姿勢になりがちです。
大きくなった子宮が血管を圧迫するのを防ぐためには、体の左側を下にして横向きになる「シムス位」という寝方が推奨されます。
この姿勢を楽に保つための予防法として、抱き枕の活用がおすすめです。

抱き枕に上になる方の足を乗せることで、体の重みが分散され、足腰への負担が軽減し、リラックスして眠りやすくなります。

頻繁なこむら返りで病院に行くべき?受診の目安と薬について

セルフケアを続けても毎日のようにこむら返りが起きたり、日中も痛みが続いたりするなど、症状が改善しない場合は、我慢せずに医療機関に相談しましょう。
ただのこむら返りではなく、別の病気が隠れている可能性も稀にあります。
ここでは、どのような場合に受診すべきか、産婦人科でどのような対策や治療が受けられるのかについて解説します。

ただの足のつりではない?注意すべき症状とは

通常、こむら返りの痛みは数分で治まり、その後は筋肉痛のような違和感が残る程度です。
しかし、こむら返りが起きた後も痛みがずっと続く、片方の足だけがパンパンに腫れている、皮膚が赤くなったり熱っぽく感じたりする、などの症状がある場合は注意が必要です。
これらは、血管の中に血の塊ができる「深部静脈血栓症」のサインである可能性も考えられます。

このような症状に気づいたら、すぐに産婦人科のかかりつけ医に連絡してください。

産婦人科で相談できることと処方される可能性のある漢方薬

頻繁なこむら返りについてかかりつけの産婦人科医に相談すると、まずは食事や生活習慣に関するアドバイスがもらえます。
それでも症状が改善しない場合、対策として漢方薬が処方されることがあります。
代表的なのは「芍薬甘草湯」で、筋肉の急激な痙攣を和らげる効果が期待できます。

ただし、長期の服用には注意が必要な場合もあるため、必ず医師の指示に従って服用してください。
自己判断での購入や使用は避けましょう。

妊娠中に湿布薬は使っても大丈夫?

こむら返り後の筋肉痛のような痛みに対して、湿布薬を使いたいと考えるかもしれません。
しかし、市販の湿布薬の多くには「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」という成分が含まれています。
この成分は、特に妊娠後期に使用すると、胎児の動脈管を収縮させるなどの影響を及ぼすリスクが指摘されています。

痛みが辛い場合の対策として湿布薬を使いたい場合は、必ず自己判断せず、かかりつけの産婦人科医や薬剤師に使用できる種類があるかを確認してください。

妊娠中期のこむら返りに関するよくある質問

多くの妊婦さんが経験するこむら返り。
こむら返りとは、筋肉が異常に収縮して痛みを伴う状態のことですが、それに関して多くの疑問が寄せられます。
ここでは、特に質問の多い内容について簡潔にお答えします。

Q1.こむら返りは妊娠後期になるともっとひどくなりますか?

必ずしも悪化するとは限りませんが、後期には子宮がさらに大きくなり血行不良が進むことや、体重増加で足への負担が増すため、頻度や痛みが強くなる傾向があります。
そのため、妊娠中期から毎日の予防策を継続することが重要です。

Q2.着圧ソックスを履いて寝るのは効果がありますか?

日中のむくみ対策として着圧ソックスを着用することは効果的とされていますが、就寝時の使用については注意が必要です。特に日中用の強い圧力の着圧ソックスは、血行を妨げる可能性があるため、夜間の使用は推奨されません。就寝時のむくみや冷え対策には、就寝用に作られた軽い圧力の着圧ソックスや、レッグウォーマー、ゆったりとした靴下での保温が役立ちます。ただし、糖尿病や閉塞性動脈硬化症など足の血流に問題がある場合は、自己判断での着用を避け、医師に相談することが重要です。

Q3.こむら返りが起きたとき、やってはいけないことはありますか?

痛みからパニックになり、つっている部分を強く揉んだり、叩いたりするのは避けてください。
筋肉の繊維を傷つけてしまう可能性があります。

また、慌てて膝を曲げるなど、筋肉を縮める方向へ動かすのも逆効果です。
ゆっくり伸ばす対処法を心がけましょう。

まとめ

妊娠中期のこむら返りは、多くの妊婦が経験する辛い症状です。
その原因は、胎児の成長に伴う母体のミネラル不足、大きくなった子宮による血行不良、そして体重増加によるふくらはぎの筋肉への負担が複合的に関わっています。
夜中に突然襲われる激痛には、慌てずにつま先を手前に引くストレッチで対処しましょう。

そして何より、再発を防ぐための日々の対策が重要です。
食事での栄養補給、こまめな水分摂取、体を冷やさない工夫、就寝前のストレッチなどを毎日の生活に取り入れてみてください。
症状が頻繁であったり、痛みがひどかったりする場合は、我慢せずに産婦人科医に相談しましょう。


 
大島はり灸院は完全予約制です。

この記事の監修者

髙下葉月
大島はり灸院 院長。
呉竹鍼灸柔整専門学校卒業。
高校卒業後から5年間、鍼灸院・介護施設にて臨床経験を積む。
資格取得後は本八幡鍼灸院に入社し、2022年に系列院である大島はり灸院の院長に就任。
現在は妊娠中・産後ケアを中心に、逆子・マタニティ腰痛・肩こり・頭痛・むくみなど幅広い不調に対応している。

【資格】
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、トコちゃんベルトアドバイザー

【経歴】
呉竹鍼灸柔整専門学校 卒業(https://www.kuretake.ac.jp/
本八幡鍼灸院入社
大島はり灸院院長就任

【SNS】
インスタグラム:https://www.instagram.com/oojimaharikyuin/?hl=ja
アメーバブログ:https://ameblo.jp/oojima-harikyu/