お尻が痛い、歩くと痛い原因は?考えられる病気と簡単ストレッチ

歩いているときにお尻に痛みを感じると、日常生活に支障が出てしまい不安になるものです。
その痛みは、単なる筋肉の疲れだけでなく、何らかの病気が原因で起きているサインかもしれません。
この記事では、歩くとお尻が痛む場合に考えられる病気や、症状別のセルフチェック、自宅でできる簡単なストレッチなどのセルフケア方法を解説します。
痛みの原因を理解し、適切な対処法を見つけるための参考にしてください。
歩くたびにお尻が痛む…その症状、もしかしたら病気のサインかもしれません
歩行中のお尻の痛みは、多くの人が経験する症状ですが、その背後には見過ごせない原因が隠れていることがあります。
お尻の筋肉や関節の問題だけでなく、腰の骨や神経に異常が生じている可能性も考えられます。
特に、痛みが続いたり、しびれを伴ったりする場合には注意が必要です。
症状を放置すると悪化する恐れもあるため、まずはどのような原因が考えられるのかを知り、自身の体の状態を正しく把握することが改善への第一歩となります。
【原因の特定】歩くとお尻が痛い場合に考えられる6つの病気
歩行時にお尻が痛む場合、主に腰やお尻周りの神経や関節、筋肉に原因があると考えられます。
代表的なものとして、坐骨神経痛、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、変形性股関節症、仙腸関節障害の6つが挙げられます。
これらの病気はそれぞれ症状の現れ方に特徴があるため、自分の痛みがどれに近いかを確認することで、原因を推測する手がかりになります。
以下で、それぞれの病気について詳しく解説します。
お尻から足にかけてしびれを伴う「坐骨神経痛」
坐骨神経痛は、特定の病名ではなく、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先にかけて伸びる「坐骨神経」が何らかの原因で圧迫されたり刺激されたりして生じる症状の総称です。
主な原因疾患には、後述する腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などがあります。
症状としては、「電気が走るような鋭い痛み」「ジンジンするしびれ」「灼熱感」などが特徴的です。
歩いたり、長時間座っていたりすると症状が悪化することが多く、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
しばらく歩くと痛みが出て休むと改善する「腰部脊柱管狭窄症」
腰部脊柱管狭窄症は、加齢などに伴い背骨の中にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、中の神経が圧迫されることで発症する病気です。
特徴的な症状として「間欠跛行(かんけつはこう)」があります。
これは、しばらく歩き続けるとお尻や足に痛みやしびれが生じて歩けなくなりますが、少し前かがみになって休むと症状が和らぎ、再び歩けるようになる状態を指します。
体を後ろに反らすと脊柱管がさらに狭まるため、痛みが増す傾向があります。
急な腰の痛みとともにお尻が痛む「腰椎椎間板ヘルニア」
腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間でクッションの役割を果たしている「椎間板」の一部が飛び出し、近くにある神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こす病気です。
重いものを持ち上げたり、急に体をひねったりした際に発症することが多く、いわゆる「ぎっくり腰」の原因の一つでもあります。
圧迫される神経の場所によって症状は異なりますが、腰の痛みに加えてお尻から足にかけての鋭い痛みやしびれ(坐骨神経痛)を伴うことが一般的です。
比較的若い世代にもみられます。
お尻の奥の筋肉が神経を圧迫する「梨状筋症候群」
梨状筋症候群は、お尻の深い部分にある梨状筋という筋肉が硬くなったり、炎症を起こしたりすることで、その下を通る坐骨神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こす状態です。
長時間のデスクワークや運転、スポーツなどでお尻の筋肉に負担がかかることが主な原因とされています。
症状は坐骨神経痛と似ていますが、特に椅子に座っているときや、あぐらをかくような姿勢で痛みが強くなるのが特徴です。
腰椎には異常が見られない場合に疑われます。
股関節の動きで痛みが生じる「変形性股関節症」
変形性股関節症は、股関節の骨の表面を覆っている軟骨がすり減ることで、関節に炎症や変形が生じる病気です。
主な症状は、足の付け根やお尻の横側、太もも、膝にかけての痛みです。
特に、歩き始めや立ち上がり、階段の上り下りなど、股関節に体重がかかる動作で痛みが現れやすいのが特徴です。
進行すると関節の動きが悪くなり、あぐらがかけなくなったり、靴下を履く動作が困難になったりするなど、日常生活に支障をきたすことがあります。
骨盤の関節が原因で痛む「仙腸関節障害」
仙腸関節障害は、骨盤の上部にある「仙腸関節」にズレや炎症が生じることで痛みが発生する状態です。
仙腸関節は、上半身の重みを支える重要な役割を担っており、わずかなズレでも強い痛みの原因となります。
痛みの場所は、お尻の真ん中からやや外側で、片側に症状が出ることが多いのが特徴です。
中腰での作業、長時間の座位、出産後の骨盤の不安定性などが原因で発症しやすく、椅子から立ち上がる際や寝返りの際に痛みが強まることがあります。
【症状で確認】あなたの痛みの特徴から原因を探るセルフチェック
ここまで紹介した病気は、痛みの場所や現れ方にそれぞれ特徴があります。
もちろん、自己判断は禁物ですが、自分の症状を詳しく観察することは、原因を推測し、医師に正確に状態を伝える上で役立ちます。
ここでは、痛みの特徴別に考えられる原因をまとめました。
ご自身の症状と照らし合わせながら確認してみてください。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、正確な診断には専門医の診察が必要です。
お尻の片側だけが痛む場合
お尻の片側だけに痛みやしびれが出る場合、神経が片側で圧迫されている可能性が考えられます。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアでは椎間板が左右どちらかに飛び出すことが多く、その側の神経が刺激されて片側のお尻や足に症状が現れます。
また、梨状筋症候群や仙腸関節障害も、問題が起きている側のお尻に局所的な痛みを生じさせることが多いです。
日常生活での体の使い方の癖や姿勢の偏りが、片側への負担を増やしている可能性もあります。
お尻の真ん中あたりが痛む場合
お尻の真ん中、特に骨盤の中央にある仙骨周辺に痛みを感じる場合は、仙腸関節障害が疑われます。
仙腸関節はこの部分に位置しており、関節のズレや炎症が直接的な痛みの原因となります。
また、梨状筋症候群でも、お尻の深部である真ん中あたりに痛みを感じることがあります。
これらの痛みは、特定の動作、例えば椅子から立ち上がる、中腰になるといった際に強まる傾向が見られます。
腰椎の問題よりも、骨盤周りの関節や筋肉に原因がある可能性が考えられます。
太ももやふくらはぎまでしびれや痛みが広がる場合
お尻の痛みだけでなく、太ももの裏やふくらはぎ、すね、足先まで痛みやしびれが放散している場合、坐骨神経が広範囲にわたって刺激されていると考えられます。
これは「坐骨神経痛」の典型的な症状であり、その根本的な原因として腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアが強く疑われます。
神経の圧迫が強いほど、症状は足先まで広がる傾向があります。
感覚が鈍くなったり、足に力が入りにくくなったりする症状を伴う場合は、特に注意が必要です。
今すぐ実践できる!歩行時のお尻の痛みを和らげるセルフケア方法
病院へ行く前に、少しでも痛みを和らげたいと感じる方も多いはずです。
ここでは、硬くなったお尻周りの筋肉をほぐし、痛みの緩和を目指すセルフケア方法を紹介します。
ただし、これらのケアを行って痛みが強くなる場合は、すぐに中止してください。
自分の体の状態に合わせて、無理のない範囲で試すことが重要です。
セルフケアはあくまで応急処置と考え、症状が改善しない場合は専門医に相談しましょう。
硬くなったお尻の筋肉を伸ばす簡単ストレッチ3選
お尻の筋肉が硬くなることは、痛みの大きな原因の一つです。
以下のストレッチで、筋肉の柔軟性を取り戻しましょう。
お尻のストレッチ(仰向け):仰向けに寝て両膝を立てます。
片方の足首を反対側の膝の上に乗せ、下の足の太ももを両手で抱えて胸に引き寄せます。
お尻が伸びているのを感じながら20秒キープし、反対側も同様に行います。
梨状筋のストレッチ(椅子):椅子に浅く座り、片方の足首を反対側の膝に乗せます。
背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと体を前に倒します。
お尻の奥が伸びるのを感じる位置で20秒キープ。
反対側も行います。
もも裏のストレッチ:床に座って片足を伸ばし、もう片方の足は曲げて足裏を伸ばした足の太ももにつけます。
背筋を伸ばし、伸ばした足のつま先に向かって体を前に倒します。
20秒キープし、反対側も同様に行います。
テニスボールを使ってお尻のコリをほぐすマッサージ
テニスボールを使うと、自分ではほぐしにくいお尻の深い部分の筋肉にアプローチできます。
まず、床に仰向けになり、両膝を立てます。
次に、痛みやコリを感じるお尻の部分にテニスボールを置きます。
ゆっくりと体重をかけ、痛気持ちいいと感じる程度の圧で30秒ほどキープします。
少し場所をずらしながら、お尻全体をほぐしていきましょう。
ただし、骨に直接ボールを当てたり、痛みが強すぎる場合はすぐに中止してください。
坐骨神経を直接圧迫すると症状が悪化する可能性もあるため、注意深く行います。
痛みが強いときは安静にすべきか、動かしたほうが良いかの判断基準
痛みがあるときに安静にすべきか、動かすべきかは、症状の時期や強さによって異なります。
ぎっくり腰のように急激な強い痛みがある「急性期」は、無理に動かすと炎症が悪化する可能性があるため、まずは安静が第一です。
楽な姿勢で休み、痛みが少し落ち着くのを待ちましょう。
一方、痛みが長引いている「慢性期」で、動かせる範囲の痛みであれば、軽いストレッチやウォーキングなどで体を動かす方が血行が促進され、筋肉の硬直が和らぎ、回復につながることがあります。
基本的には「痛みが増悪しない範囲で動かす」ことを基準に判断してください。
セルフケアで改善しない場合は病院へ!何科を受診すればいい?
紹介したセルフケアを試しても症状が改善しない、あるいは悪化していく場合は、専門的な診断と治療が必要です。
痛みの原因を特定しないまま放置すると、症状が慢性化したり、重篤な状態に進行したりする可能性があります。
特に、しびれが強くなったり、痛くて眠れなかったりする日が続くようであれば、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診することが大切です。
適切な治療を受けることで、早期の回復が期待できます。
まずは「整形外科」で専門的な診断を受けよう
歩行時のお尻の痛みで病院を受診する場合、第一選択となるのは「整形外科」です。
整形外科は、骨、関節、筋肉、神経といった運動器系の疾患を専門とする診療科です。
問診や身体診察に加え、レントゲンやMRIなどの画像検査を行うことで、痛みの原因が骨や神経にあるのか、あるいは筋肉や関節の問題なのかを正確に診断できます。
診断に基づいて、投薬、リハビリテーション、注射、場合によっては手術といった適切な治療法が提案されます。
原因を特定するためにも、まずは整形外科の専門医に相談しましょう。
放置は危険!すぐに病院を受診すべき症状のサイン
お尻の痛みの中には、放置すると深刻な後遺症につながる可能性がある危険なサインも含まれています。
これから挙げるような症状がみられる場合は、セルフケアで様子を見るのではなく、できるだけ早く、場合によっては夜間や休日でも救急外来を受診することを検討してください。
これらは、神経に重度の障害が起きている可能性や、他の重大な病気が隠れている可能性を示唆しています。
足に力が入らない、感覚が鈍くなってきた
お尻の痛みに加えて、「足首が上がらない」「スリッパが脱げやすい」「つま先立ちができない」といった足の脱力感や、触られても感覚が鈍い、皮膚が厚くなったように感じるなどの感覚麻痺がある場合は、神経が強く圧迫されているサインです。
これは運動神経や感覚神経に障害が起きていることを示しており、放置すると麻痺が永続的な後遺症として残ってしまう危険性があります。
このような症状に気づいたら、速やかに整形外科を受診してください。
排尿や排便に異常が出ている
「尿が出にくい」「頻尿になった」「便意を感じない」「便失禁してしまう」といった排尿・排便に関する異常は、非常に危険な兆候です。
これは「膀胱直腸障害」と呼ばれ、脊髄の下部にある排泄をコントロールする神経の束(馬尾神経)が重度に圧迫されている可能性があります。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が重症化した場合に起こることがあり、緊急手術が必要となるケースも少なくありません。
この症状が現れたら、ためらわずに直ちに医療機関を受診すべきです。
何もしていなくても激しい痛みが続く
安静にしていても痛みが全く和らがない、横になっていても激痛で眠れない、どのような姿勢をとっても楽にならない、といった症状がある場合も注意が必要です。
通常の神経や筋肉の痛みが原因であれば、楽な姿勢をとることで多少は痛みが軽減することがほとんどです。
安静時にも続く激痛は、化膿性脊椎炎などの感染症や、脊椎・骨盤内の腫瘍といった、より重篤な病気が隠れている可能性も考えられます。
この場合も、早期の精密検査が必要です。
歩行時のお尻の痛みに関するよくある質問
ここでは、歩行時のお尻の痛みについて、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
日々のケアや生活習慣を見直す際の参考にしてください。
Q1. 痛いときは温めるべきですか?それとも冷やすべきですか?
痛みの性質によって使い分けます。
急な強い痛みで、熱を持っているような炎症期には、冷やすことで炎症を抑えます。
一方、鈍い痛みが続く慢性期や、筋肉がこわばっている場合は、温めることで血行を促進し、痛みの緩和が期待できます。
迷った場合は、心地よいと感じる方を選び、痛みが悪化しないか確認しながら行ってください。
Q2. 長時間のデスクワークがお尻の痛みの原因になりますか?
はい、原因になることがあります。
長時間座り続けると、お尻の筋肉、特に梨状筋が圧迫され続け、血行不良や筋肉の硬直を引き起こします。
これが梨状筋症候群などを誘発し、坐骨神経を刺激して痛みの原因となることがあります。
1時間に1度は立ち上がって軽く体を動かすなど、こまめに姿勢を変えることが重要です。
Q3. 痛みを予防するために日常生活で気をつけることはありますか?
正しい姿勢を心がけ、長時間同じ姿勢を取り続けないことが基本です。
デスクワーク中はクッションを活用してお尻への圧力を分散させるのも有効です。
また、ウォーキングなどの適度な運動で筋力を維持し、ストレッチで筋肉の柔軟性を保つことも予防につながります。
体を冷やさないようにすることも、血行を良くし痛みを防ぐ上で大切です。
まとめ
歩行時のお尻の痛みは、梨状筋症候群のような筋肉の問題から、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった神経が関わる病気まで、様々な原因によって引き起こされます。
軽い痛みであれば、ストレッチなどのセルフケアで改善することもありますが、症状が長引く場合や、しびれ、脱力感、排尿障害などを伴う場合は注意が必要です。
これらの危険なサインを見逃さず、症状に不安を感じたら自己判断で済ませずに、まずは整形外科を受診して専門医による正確な診断を受けるようにしてください。
髙下葉月 【資格】 【経歴】 【SNS】この記事の監修者

大島はり灸院 院長。
呉竹鍼灸柔整専門学校卒業。
高校卒業後から5年間、鍼灸院・介護施設にて臨床経験を積む。
資格取得後は本八幡鍼灸院に入社し、2022年に系列院である大島はり灸院の院長に就任。
現在は妊娠中・産後ケアを中心に、逆子・マタニティ腰痛・肩こり・頭痛・むくみなど幅広い不調に対応している。
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、トコちゃんベルトアドバイザー
呉竹鍼灸柔整専門学校 卒業(https://www.kuretake.ac.jp/)
本八幡鍼灸院入社
大島はり灸院院長就任
インスタグラム:https://www.instagram.com/oojimaharikyuin/?hl=ja
アメーバブログ:https://ameblo.jp/oojima-harikyu/












