カンガルーケアのデメリットと注意点|効果や急変リスクも解説

カンガルーケアは、親子の愛着形成を促すなど多くの効果が期待できる一方で、赤ちゃんの急変といったリスクも指摘されています。
安全に実施するためには、デメリットと注意点を正しく理解することが不可欠です。
この記事では、カンガルーケアの具体的な方法から、知っておくべきリスク、安全対策、そして期待される効果までを詳しく解説します。
そもそもカンガルーケアとは?目的と具体的な方法
カンガルーケアとは、出産直後の赤ちゃんを、母親の胸の上に直接抱き、肌と肌を触れ合わせるケア方法です。
その主な目的は、赤ちゃんが母親の体温や心音を感じることで安心感を得て、子宮の外の環境に穏やかに適応できるように促すことにあります。
また、肌の触れ合いを通じて親子の愛着形成を深めることも重要な目的の一つです。
具体的な方法としては、出生後すぐに赤ちゃんのおむつ以外の衣服を脱がせ、母親の素肌の胸の間にうつ伏せの状態で抱きます。
その上からタオルや毛布をかけて、赤ちゃんの体温が下がらないように保温します。
知っておくべきカンガルーケアの3つのデメリットと危険性
カンガルーケアには多くのメリットがある一方で、実施する際には知っておくべきデメリットや危険性も存在します。
特に、赤ちゃんの急変や低体温症、転落事故といったリスクは、事前に把握し対策を講じる必要があります。
これらの危険性を理解することは、カンガルーケアを行うかどうかを判断したり、安全な実施方法を考えたりする上で非常に重要であり、漠然とした不安を解消するためにも役立ちます。
赤ちゃんの呼吸状態が悪化する急変リスク
カンガルーケアにおける最も重大なリスクは、赤ちゃんの容体が急変する可能性です。
赤ちゃんの首が不自然に曲がったり、うつ伏せの体勢で母親の胸に顔が強く押し付けられたりすると、気道が圧迫されて呼吸がしにくくなることがあります。
特に、出生直後の赤ちゃんは呼吸機能がまだ不安定なため、わずかな気道の閉塞が呼吸停止につながる危険性を否定できません。
母親や医療スタッフが赤ちゃんの顔色や呼吸状態を常に確認できる体勢を保ち、異変にすぐ気づける環境を整えることが、このリスクを回避するために不可欠です。
出生直後の赤ちゃんが低体温症になる可能性
生まれたばかりの赤ちゃんは、皮下脂肪が少なく体温を調節する機能が未熟です。
そのため、カンガルーケアで肌を露出させると、室温によっては体温が奪われて低体温症に陥るリスクがあります。
母親の体温で温められる効果もありますが、部屋の温度が適切に管理されていなかったり、ケアの時間が長すぎたりすると、赤ちゃんの体温は徐々に低下してしまいます。
このリスクを避けるためには、部屋を暖かく保ち、赤ちゃんの背中を乾いた暖かいタオルや毛布で覆うなどの保温対策を徹底することが重要です。
母親の疲労による赤ちゃんの転落事故
出産は母親の心身に大きな負担をかけるため、分娩直後は極度の疲労状態にあります。
その状態でカンガルーケアを行うと、母親がうとうとと眠ってしまい、腕の力が緩んで赤ちゃんを落下させてしまうリスクがあります。
このような転落事故を防ぐためには、母親の体調を最優先し、少しでも眠気や疲れを感じる場合は無理に行わないことが大切です。
また、家族や医療スタッフがすぐそばで見守り、いつでもサポートできる体制を整えておくことが、このリスクを軽減するために不可欠な対策となります。
デメリットだけじゃない!カンガルーケアで得られる3つの効果(メリット)
カンガルーケアには注意すべき点もありますが、適切に行うことで赤ちゃんや母親に多くの良い効果をもたらします。
肌と肌が直接触れ合うことで、親子の絆が深まるだけでなく、赤ちゃんの身体的な安定や、その後の母乳育児にも良い影響を与えることが知られています。
ここでは、カンガルーケアによって得られる代表的な3つのメリットについて解説します。
親子の愛着形成を促し絆が深まる
カンガルーケアの最大の効果の一つは、親子の愛着形成を強く促すことです。
母親の胸の上で肌と肌を触れ合わせることで、母親と赤ちゃんの双方から「オキシトシン」というホルモンの分泌が促進されます。
このオキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、安心感や幸福感をもたらし、相手への愛着を深める働きがあります。
母親の心音や温もり、匂いを間近で感じることで赤ちゃんは安心し、母親も我が子を肌で感じることで母性が育まれ、親子の強い絆が形成されるきっかけとなります。
赤ちゃんの心拍や呼吸が安定しやすくなる
母親の体に抱かれて心臓の音を聞くことは、赤ちゃんにとって子宮の中にいた時と似た環境であり、大きな安心感をもたらします。
この安心感が赤ちゃんのストレスを和らげ、心拍数や呼吸を落ち着かせる効果につながります。
出生直後の赤ちゃんは、新しい環境に適応しようと必死な状態ですが、カンガルーケアによって穏やかな時間を過ごすことで、身体的な状態が安定しやすくなります。
実際に、カンガルーケアを行った赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんと比べて泣いている時間が短いという報告もあります。
母親の母乳育児をスムーズに始めるきっかけになる
カンガルーケアは、母乳育児をスムーズに開始するための良いきっかけとなる効果も期待できます。
赤ちゃんと肌を触れ合わせることで、母親の体内では母乳の分泌を促すホルモン「プロラクチン」の分泌が活発になります。
また、赤ちゃんが母親の胸の上で乳首を探して吸いつくという本能的な行動(サーチング反射)が引き出されやすくなります。
この早期の吸啜が、その後の母乳育児を軌道に乗せるための重要な第一歩となり、母乳育児の継続率を高めることにもつながります。
カンガルーケアを安全に行うための4つの注意点
カンガルーケアのメリットを最大限に活かし、リスクを最小限に抑えるためには、いくつかの重要な注意点を守る必要があります。
医療スタッフの体制確認や赤ちゃんの体勢、母親の体調管理など、安全を確保するためのポイントを事前に理解し、準備しておくことが大切です。
ここでは、カンガルーケアを安心して行うために実践すべき4つの注意点について具体的に解説します。
医療スタッフが常に赤ちゃんの側で見守る体制か確認する
安全なカンガルーケアの絶対条件は、医療スタッフによる継続的な監視体制が整っていることです。
万が一、赤ちゃんの呼吸状態や顔色に変化があった場合に、すぐに対応できる医師や助産師、看護師が常に付き添っているかを確認してください。
カンガルーケアを始める前に、病院やクリニックの方針として、どのような監視体制をとっているのかを質問しておくことが重要な注意点です。
母親や家族だけでなく、専門家の目で見守られているという環境が、安心してケアを行うための基盤となります。
赤ちゃんの顔色や呼吸が常に確認できる体勢を保つ
カンガルーケア中は、赤ちゃんの口と鼻が母親の乳房や衣服で塞がれていないか、常に注意を払う必要があります。
赤ちゃんの顔を横に向け、いつでも顔色や呼吸の様子が見えるように体勢を維持することが大切な注意点です。
特に、赤ちゃんのあごが胸について首が強く曲がると、気道が狭くなり呼吸が苦しくなる可能性があります。
赤ちゃんの首がまっすぐ伸びているか、胸が軽く上下して呼吸しているかを定期的に確認し、安全な姿勢を保つように心がけてください。
母親の体調が万全な時に無理なく行う
出産は心身ともに大きなエネルギーを消耗するため、母親の体調を最優先することが重要な注意点です。
もし疲労が激しい、気分が悪い、強い眠気を感じるなどの場合は、無理にカンガルーケアを行うべきではありません。
母親がリラックスできず、緊張した状態で抱っこをすると、赤ちゃんにもその不安が伝わってしまう可能性があります。
また、疲労による転落のリスクを避けるためにも、自身の体調を正直に医療スタッフに伝え、万全な状態の時に行うように判断してください。
父親がカンガルーケアを行う場合の注意点
カンガルーケアは父親も行うことができ、父子の愛着形成に非常に良い効果をもたらします。夫が実施する場合の注意点も、基本的には母親の場合と同じです。上半身裸になり、赤ちゃんを胸に直接抱き、保温のために上からタオルなどをかけます。赤ちゃんを安定して支えられるよう、リクライニングチェアやベッドの上など、リラックスできる安全な場所で行うことが推奨されます。医療スタッフの指導のもと、赤ちゃんの顔色や呼吸を確認しながら行うという基本的な注意点を守ることが大切です。
カンガルーケアに関するよくある質問
カンガルーケアを検討する中で、具体的な実施時間や出産方法による違いなど、さまざまな疑問や不安が生じることがあります。
ここでは、カンガルーケアに関して多くの方が抱く質問とその回答をまとめました。
事前にこれらの情報を知っておくことで、出産時の不安を少しでも和らげ、より安心してカンガルーケアに臨むことができるでしょう。
Q1.カンガルーケアは何分くらい行うのが一般的ですか?
一般的には30分から長くても2時間程度が目安ですが、統一された基準はありません。
赤ちゃんの状態や母親の体調を最優先し、医療スタッフが状況を判断して時間を調整します。
特に重要なのは、赤ちゃんの体温が下がりすぎないように配慮することです。
無理に長く続けるのではなく、母子ともに快適でリラックスできる範囲の時間で行うことが大切です。
Q2.帝王切開で出産した場合でもカンガルーケアはできますか?
はい、帝王切開でもカンガルーケアは可能です。
ただし、母親の傷の痛みや体調を十分に考慮する必要があります。
手術直後は母親が仰向けに寝た状態で、胸の上に赤ちゃんを乗せる形で行うことが多いです。
もし母親の体調が優れない場合は、父親が代わりに行うこともできます。
不安な点は事前に医師や助産師に相談し、安全な方法を確認してください。
Q3.カンガルーケアを断ることはできますか?
はい、もちろん断ることができます。
カンガルーケアは、母親や家族の希望に基づいて行われるものであり、強制されるものではありません。
もし体調に不安があったり、リスクに対して懸念が強かったりする場合は、無理をする必要は全くありません。
その気持ちを正直に医療スタッフに伝えることが大切です。
カンガルーケアをしなくても、親子の絆を深める方法は他にもたくさんあります。
まとめ
カンガルーケアは、親子の愛着形成や赤ちゃんの心身の安定、母乳育児の促進といった多くのメリットが期待できる一方で、赤ちゃんの急変や低体温症、転落事故などのリスクも伴います。
これらのメリットとデメリットを正しく理解し、医療スタッフによる十分な監視体制のもとで、母親と赤ちゃんの体調を最優先して行うことが極めて重要です。
最終的に実施するかどうかは、医療スタッフと十分に相談し、個々の状況に合わせて判断することが求められます。
髙下葉月 【資格】 【経歴】 【SNS】この記事の監修者

大島はり灸院 院長。
呉竹鍼灸柔整専門学校卒業。
高校卒業後から5年間、鍼灸院・介護施設にて臨床経験を積む。
資格取得後は本八幡鍼灸院に入社し、2022年に系列院である大島はり灸院の院長に就任。
現在は妊娠中・産後ケアを中心に、逆子・マタニティ腰痛・肩こり・頭痛・むくみなど幅広い不調に対応している。
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、トコちゃんベルトアドバイザー
呉竹鍼灸柔整専門学校 卒業(https://www.kuretake.ac.jp/)
本八幡鍼灸院入社
大島はり灸院院長就任
インスタグラム:https://www.instagram.com/oojimaharikyuin/?hl=ja
アメーバブログ:https://ameblo.jp/oojima-harikyu/






