産後はなぜ寒い?熱ないのに震える原因と今すぐできる対策

産後はなぜ寒い?熱ないのに震える原因と今すぐできる対策

出産という大仕事の後、体が冷えやすいと感じる女性は少なくありません。
これは、ホルモンバランスの急激な変化や体力の消耗、血液量の減少など、出産に伴う体の大きな変化が原因です。
寒気や震えを感じることもあり、不安になるかもしれませんが、多くの場合は産後の一時的な不調です。

この記事では、産後に寒さを感じる原因と、今日からすぐにできる対策について解説します。

産後に熱がないのに震えるほどの寒気がする原因とは?

産後、熱がないにもかかわらず、ガクガクと震えるほどの寒気を感じることがあります。
これは「悪寒戦慄」と呼ばれる症状で、不安になるかもしれませんが、主に産後の身体の急激な変化によるものです。
自律神経の乱れやホルモンバランスの変化、体力の消耗などが複雑に絡み合って引き起こされます。

ただし、中には病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。

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自律神経の乱れによる体温調節機能の低下

産後は、ホルモンバランスの急激な変動や、慣れない育児によるストレス、睡眠不足などによって自律神経が乱れやすくなります。
自律神経は、血管の収縮や拡張をコントロールして体温を一定に保つ役割を担っています。

しかし、その働きが乱れると、体温調節がうまくいかなくなり、暑くないのに汗をかいたり、熱がないのに強い寒気を感じたりすることがあります。
これは、産後の多くの女性が経験する症状の一つです。

出産による体力の消耗とホルモンバランスの急激な変化

出産は、女性の体に大きな負担をかける一大イベントです。
数時間から数十時間に及ぶ陣痛や分娩で大量のエネルギーを消費し、体力は極度に消耗します。

また、妊娠中に増加していた女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)は、出産を終えると一気に減少します。
このホルモンバランスの劇的な変化は、体温調節を司る自律神経に影響を与え、寒気やほてりといった不調を引き起こす原因となります。

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血液や水分の不足による影響

出産時には、胎盤の排出などに伴い、誰でも一定量の出血があります。
出血量が多かった場合、体内の血液が不足し、貧血状態になることがあります。
血液は、全身に酸素と栄養素だけでなく、熱を運ぶ重要な役割を担っています。

そのため、血液が不足すると体の隅々まで熱が届きにくくなり、冷えや寒気の原因となります。
また、授乳によっても体内の水分が失われがちになり、血液の循環が悪くなる一因となります。

注意!産褥熱や乳腺炎など病気が隠れている可能性も

震えるほどの寒気とともに38度以上の高熱が出る場合は、注意が必要です。
これは、産道から細菌が侵入して子宮内などで炎症を起こす産褥熱や、乳腺が詰まって炎症を起こす乳腺炎などの感染症のサインかもしれません。

これらの病気は、悪寒や高熱のほかに、下腹部痛、悪臭のあるおりもの、乳房のしこりや痛み、赤みといった症状を伴うことがあります。
該当する症状がある場合は、すぐに産婦人科を受診してください。

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産後の体が冷えやすくなる4つの主な理由

産後の体が冷えやすくなる4つの主な理由産後、急な寒気だけでなく、慢性的な冷えに悩まされることも少なくありません。
以前よりも寒がりになった、手足がいつも冷たいと感じるのは、出産によって体が冷えやすい状態になっているためです。
その主な理由として、筋肉量の低下、骨盤の歪み、授乳による影響、そして育児に伴う生活の変化などが挙げられます。

これらの要因が複合的に絡み合うことで、産後の体は冷えやすくなります。

①筋肉量の低下による熱産生量の減少

体内で最も多くの熱を生み出しているのは筋肉です。
しかし、妊娠中は運動量が減りがちで、産後もしばらくは安静に過ごす期間があるため、筋肉量が低下しやすくなります。
筋肉が減ると、基礎代謝も低下し、体内で作り出される熱の量が減少してしまいます。

その結果、体温が上がりにくく、冷えを感じやすい体質になってしまうのです。
特に下半身の大きな筋肉が衰えると、全身の冷えにつながりやすくなります。

②骨盤の歪みが引き起こす血行不良

出産時に赤ちゃんが通りやすいよう、女性の骨盤はホルモンの働きで大きく開きます。
産後、開いた骨盤は数ヶ月かけてゆっくりと元の状態に戻ろうとしますが、その過程で歪みが生じやすい状態にあります。
骨盤が歪むと、その周辺を通る太い血管が圧迫されたり、神経の働きが乱れたりして、血行不良を引き起こします。

特に、下半身への血流が滞りやすくなるため、足先の冷えやむくみ、腰痛などの原因になることがあります。

③授乳による水分と栄養の不足

母乳の生成には、母親の血液から乳腺へ運ばれる栄養素やホルモンが関与しています。乳腺細胞は、これらの栄養素などを原料として母乳を合成します。そのため、授乳期間中は多くの水分と栄養、そしてエネルギーが母乳の生成に使われます。意識して水分を補給しないと、体は水分不足に陥りやすくなります。

水分が不足すると血液が濃縮されて流れが悪くなり、全身の血行不良につながります。また、母乳を作るために多くのエネルギーを消費するため、体が熱を生み出すためのエネルギーが不足しがちになり、冷えを感じやすくなるのです。

④育児によるストレスと睡眠不足

産後は、昼夜を問わない赤ちゃんのお世話で、まとまった睡眠をとることが難しくなります。
慢性的な睡眠不足や、慣れない育児に対するプレッシャーや不安などの精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱す大きな原因となります。

自律神経は体温調節や血流のコントロールを行っているため、その働きが乱れると、血管がうまく収縮・拡張できなくなり血行が悪化します。
これが、体の冷えやさまざまな不調を引き起こすことにつながります。

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侮れない!産後の冷えが引き起こすママの体への悪影響

れない!産後の冷えが引き起こすママの体への悪影響産後の冷えは、単に「寒い」という不快な症状だけではありません。
体を冷えたまま放置すると、回復途中のママの体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
慢性的な冷え性は、免疫力の低下や母乳への影響、疲労感の増大など、育児を頑張るママにとって見過ごせない不調の原因となり得ます。

産後の体を健やかに保つためにも、冷えがもたらすリスクを理解しておくことが重要です。

免疫力が下がり感染症にかかりやすくなる

体温は、私たちの免疫機能と密接な関係にあります。
一般的に、体温が1度下がると免疫力は約30%低下するといわれています。
体が冷えると、血液中のウイルスや細菌と戦う白血球の働きが鈍くなり、免疫システムが十分に機能しなくなります。

産後はただでさえ体力が落ちているため、冷えによってさらに免疫力が低下すると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなってしまいます。

母乳の出が悪くなる可能性がある

母乳は血液から作られているため、母乳育児中のママにとって血行の良し悪しは非常に重要です。
体が冷えて血行が悪くなると、母乳を生成するために必要な血液が乳房まで十分に届きにくくなることがあります。
その結果、母乳の分泌量が減ってしまったり、母乳の流れが滞ることで乳腺が詰まりやすくなり、乳腺炎のリスクを高めたりする可能性があります。

体を温めて血の巡りを良くすることは、スムーズな授乳にもつながります。

疲労感が抜けず育児がより辛く感じる

体が冷えて血行が悪くなると、全身の細胞に十分な酸素や栄養が届きにくくなる一方で、疲労物質や老廃物が体内に溜まりやすくなります。
そのため、体を休めてもなかなか疲れが抜けず、常にだるさや重さを感じるようになります。
産後は赤ちゃんのお世話で心身ともに疲れが溜まりやすい時期です。

慢性的な疲労感は、育児に対する気力や体力をさらに奪い、精神的にも追い詰められてしまう原因になりかねません。

代謝が落ちて産後太りの原因になることも

体の冷えは、基礎代謝の低下に直結します。
基礎代謝とは、生命維持のために最低限必要なエネルギーのことで、体温が1度下がると約12〜13%低下するといわれています。
基礎代謝が落ちると、エネルギーが消費されにくくなり、摂取したカロリーが脂肪として体に蓄積されやすくなります。

これが、いわゆる「産後太り」の一因となることがあります。
体を温めて代謝を上げることは、体型を戻す上でも大切なポイントです。

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産後の体を内側から温める食事と飲み物のポイント

産後の冷えを改善するためには、外から温めるだけでなく、日々の食事を通して体の内側から温めることが非常に重要です。
栄養バランスの取れた食事は、体力を回復させ、熱を生み出す力を高めてくれます。

特に、出産と授乳で失われがちな栄養素を意識的に摂取することや、体を温める作用のある食材を選ぶことが効果的です。
また、飲み物の選び方一つでも、体の冷えは大きく変わります。

鉄分やタンパク質を意識したバランスの良い食事を心がける

出産時の出血や母乳の生成により、産後の女性は鉄分が不足しがちです。
鉄分は血液中のヘモグロビンの材料であり、これが不足すると貧血状態になり、全身に熱を運ぶ力が弱まって冷えを悪化させます。
また、筋肉の材料となるタンパク質は、熱産生に不可欠な栄養素です。

赤身の肉や魚、レバー、ほうれん草、大豆製品など、鉄分とタンパク質を豊富に含む食材を毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。

体を温める効果が期待できる根菜類や香味野菜を取り入れる

食材には体を温める性質を持つものと、冷やす性質を持つものがあります。
一般的に、土の中で育つごぼう、にんじん、れんこんなどの根菜類や、寒い季節に旬を迎える野菜は体を温める作用があるといわれています。
また、生姜、にんにく、ネギ、唐辛子などの香味野菜は、血行を促進して体を温める効果が期待できます。

これらの食材を、温かいスープや煮込み料理、味噌汁などに取り入れるのがおすすめです。

カフェインレスで温かい飲み物(たんぽぽ茶・ルイボスティーなど)を選ぶ

冷たい飲み物は内臓を直接冷やし、体全体の冷えにつながるため、産後は常温か温かい飲み物を基本にしましょう。
コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるカフェインには、血管を収縮させる作用や利尿作用があり、体を冷やす原因になることがあります。
そのため、授乳中にも安心して飲める、たんぽぽ茶、ルイボスティー、黒豆茶、生姜湯といったノンカフェインで体を温める効果が期待できる飲み物を選ぶと良いでしょう。

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忙しい育児の合間にできる!産後の冷え対策5選

忙しい育児の合間にできる!産後の冷え対策5選赤ちゃんのお世話で忙しい毎日の中では、じっくりと自分のケアに時間をかけるのは難しいかもしれません。
育児の合間にすぐ取り入れられる簡単な工夫で、つらい冷えを効果的に和らげることが可能です。

ここでは、日々の生活の中で手軽に実践できる5つの冷え対策を紹介します。
無理のない範囲で、できることから始めてみましょう。

腹巻きやレッグウォーマーで「3つの首」を温める

体を効率的に温めるには、「首」「手首」「足首」という3つの首を温めるのがポイントです。
これらの部位は皮膚のすぐ下を太い動脈が通っているため、温めることで温まった血液が全身に巡りやすくなります。
タートルネックやマフラー、アームウォーマー、レッグウォーマーなどを活用しましょう。

また、お腹周りを腹巻きで温めることも、内臓の冷えを防ぎ、全身の血流改善に効果的です。
寝る時も足首を冷やさないようにすると、心地よく眠りやすくなります。

5分でOK!寝る前の足湯でリラックス

全身浴をする時間がない時でも、足湯なら手軽に体を温めることができます。
洗面器などに40〜42度くらいの少し熱めのお湯を張り、くるぶしの上あたりまで5〜10分ほどつけるだけで、足先からじんわりと全身が温まります。
血行が促進されるだけでなく、副交感神経が優位になって心身ともにリラックスする効果も期待できます。

寝る前に行うことで、スムーズな入眠にもつながります。

軽いストレッチや骨盤ケアで血流を促進する

産後の体に負担をかけない程度の軽いストレッチは、凝り固まった筋肉をほぐし、血行を促進するのに効果的です。
特に、大きな筋肉が集まる股関節周りや、血流が滞りやすい肩甲骨周りを意識して動かすと良いでしょう。
また、産後用の骨盤ベルトを着用したり、専門家の指導のもとで骨盤ケアの体操を取り入れたりすることも、骨盤の歪みを整えて下半身の血行不良を改善する助けになります。

湯船に浸かる習慣で体の芯から温まる

忙しいとついシャワーだけで済ませてしまいがちですが、できるだけ湯船に浸かる習慣をつけましょう。
シャワーでは体の表面しか温まりませんが、湯船に浸かることで体の芯からじっくりと温めることができます。
38〜40度程度のぬるめのお湯に10〜15分ほど浸かるのがおすすめです。

水圧によるマッサージ効果で血行が促進され、リラックス効果によって自律神経のバランスを整えることにもつながります。

締め付けすぎない服装で血行を妨げない

産後の体形変化を意識して、ガードルやスキニージーンズの着用を検討したくなるかもしれませんが、着用する際はご自身の体調や体に合ったものを選ぶようにしましょう。特に産後はデリケートな時期ですので、体を締め付けすぎないゆったりとした服装を心がけることが大切です。素材も、汗を吸いやすく保温性にも優れた綿やシルクなどの天然素材がおすすめです。

重ね着を工夫して、こまめに体温調節できるようにすることも大切です。

産後の寒気に関するよくある質問

ここでは、産後の寒気や冷えに関して、多くのママが抱く疑問についてお答えします。

Q1.産後の寒気や冷えはいつまで続くのでしょうか?

個人差が大きいですが、産後1〜2ヶ月で落ち着くことが多いです。
ホルモンバランスが整い、出産で消耗した体力が回復するにつれて症状は自然と改善していきます。
ただし、生活習慣や元々の体質によっては慢性的な冷え性として定着することもあるため、体を温めるセルフケアを続けることが大切です。

Q2.夏でも靴下や腹巻きは必要ですか?

はい、夏でも冷房対策として活用するのがおすすめです。
夏は冷房の効いた室内と暑い屋外との温度差が大きく、自律神経が乱れて体が冷えやすくなります。
素足でいると足元から冷気が伝わりやすいので、薄手の靴下やレッグウォーマーを着用したり、腹巻きでお腹を冷えから守ったりすると良いでしょう。

Q3.どのような症状があれば病院を受診すべきですか?

震えるほどの寒気とともに38度以上の高熱がある場合や、下腹部の激しい痛み、悪臭のあるおりもの、乳房の強い痛み・しこり・赤みなどの症状がある場合は、すぐに産婦人科を受診してください。
これらは産褥熱や乳腺炎といった感染症の可能性があり、早期の治療が必要です。

まとめ

産後に感じる寒気や冷えは、出産という大きな仕事を終えた体に起こる自然な変化の一つです。
ホルモンバランスの乱れや体力の消耗、筋肉量の低下など、様々な要因が関係しています。
まずは体を温める食事や服装を心がけ、無理のない範囲でストレッチや入浴を取り入れるなど、日々の生活でできることから対策を始めましょう。

ただし、高熱を伴う場合など、いつもと違う強い症状がある時は、迷わず医療機関に相談してください。


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この記事の監修者

髙下葉月
大島はり灸院 院長。
呉竹鍼灸柔整専門学校卒業。
高校卒業後から5年間、鍼灸院・介護施設にて臨床経験を積む。
資格取得後は本八幡鍼灸院に入社し、2022年に系列院である大島はり灸院の院長に就任。
現在は妊娠中・産後ケアを中心に、逆子・マタニティ腰痛・肩こり・頭痛・むくみなど幅広い不調に対応している。

【資格】
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、トコちゃんベルトアドバイザー

【経歴】
呉竹鍼灸柔整専門学校 卒業(https://www.kuretake.ac.jp/
本八幡鍼灸院入社
大島はり灸院院長就任

【SNS】
インスタグラム:https://www.instagram.com/oojimaharikyuin/?hl=ja
アメーバブログ:https://ameblo.jp/oojima-harikyu/